2006年5月29日 (月)

コンピュータは安くなったのか

コンピュータは本当に安くなりました。今では数万円でも普通に使うには全く問題のないレベルのものがどんどんリリースされています。

それではシステム構築は安くなったのかというとこれはそういうわけではありません。

今まではハードウエアが3000万円、開発費は1000万円だったものが、今はハードウエアが1000万円、開発費が3000万円と逆になっているからです。理由はユーザー側の要求が高くなってきたからです。

十数年前までは、面倒な計算がちょこっとできて、印刷がペロッとできる。なんていうレベルのソフトでも大変喜んでもらえました。しかし今は違います。

社内の各部署の仕事を統合して計算するといった注文も当たり前になってきています。ゆえに開発時間も長く必要になり、高度な技術レベルを求められる場面も多くなってきています。

先日、新しい冷蔵庫を買いました。今まで使っていた冷蔵庫は10年以上前の物で当時10万円くらいで購入しました。そして今回買った冷蔵庫もやはり10万円でした。これだけいろいろな物が安くなっているのにどうして冷蔵庫の価格は下がらなかったのか。

それは今の冷蔵庫が求められている機能が10年前の物とは明らかに違うからです。昔の冷蔵庫は冷えればよい。ドアがいくつかあればよいといったレベルでした。しかし今はユーザーの要求が高度になり省エネで氷が自動的にできて、野菜が長持ちするような温度湿度調節...。といったようにどんどん付加価値が求められています。

価格が20万円、30万円するものも珍しくはありません。

では冷蔵庫はみな高くなったのかというとそういうわけでもなく、単純に冷えるだけで容量の小さい冷蔵庫は1、2万円でも買えるようになりました。つまり選択の幅が広くなったということです。良い物は限りなく高くなり、そうでないものは安くなる。

ソフトの開発にも同じことがいえます。たいしたことのないソフトや高度な要求をしなければレベルの低い開発者にも開発は可能ですし、たまに止まってもいいやくらいの軽い気持ちで頼むならソフトの開発を依頼しても安く作れると言うことです。

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安く作るとどういう問題が起こるか

ソフトはいくらで作れるのかということが、よく問題になるのですが 「この程度のシステムなら***万円くらいでつくれるんじゃないの」というようなエーカゲンなことを言う人がよくいます。

たいていはパソコンをちょこっと知っているくらいの人が多いんですけど。

まず基本的にソフトの開発には最低500万円位の予算が無いと開発が破綻するか、いい加減な物ができあがることが多いと思います。

ソフト開発会社の人件費を考えてみますと、月給残業代合わせて50万円の給与をもらっているプログラマで、ボーナスが年間4ヶ月なら年収800万円。会社負担分の社会保険関連が13パーセント程度で年間100万円くらい。つまり交通費や他の経費がまったく無い状況でも900万円必要なわけです。

 ゆえにたとえば300万円のソフトというと利益ゼロの状態で4ヶ月で作成できるシステムとなります。ここに営業マンの給与や打ち合わせ費用、会社の利益をのせるとなると、1ヶ月以内に完成させなければなりません。つまり8時間×20日=160時間で完成するソフトとなります。すごく簡単なソフトなら別ですが、それでもプログラムの修正などはあると思います。ゆえに1から作って160時間で完成するソフトは実際には、あり得ないわけです。

 でもそういう会社が無いわけではありません。そういう会社は人件費がすごく安いんです。そういう人はどういうプログラマなのか...。想像してみてください。ちょっと恐ろしいので僕なら頼まないですね。

前の話ではありませんがどんな「ハンバーグ」ができあがるか分からないですし、

最悪、お店(?)が倒産という一番困るパターンになるかもしれません。

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ハンバーグとソフトは限りなく安く作れる

 料理のことはよく分からないんですが、知り合いのコックに聞いたところハンバーグという料理は、高くも作れるし、安くも作れるそうです。ソフトにもそんなところがあります。

「じゃ、安い方がいいや」

とお考えになるかもしれませんが、ハンバーグ同様「美味い」「まずい」があるのでご用心。

 もし貴方が「とにかく安くハンバーグを作ってくれ」といわれたらどうします?僕ならとにかくスーパーで一番安い肉を買ってきて、そのへんのアルバイトを雇って料理の本を見ながら作らせます。

形だけは綺麗につくります。格好悪いですからね。

もし失敗したら近所のスーパーで買って来ちゃいますけど。
どうですか貴方も同じ考えですか。

 ソフトも同じです。自社では受けられないような安いソフト開発の場合、外注で安いところにやらせます。安いと言うことは腕もそれなりです。原因はよく分からないけど、パソコンが止まっちゃうことがあるソフトとか、何人かで入力していたら突然遅くなったり、動作がおかしかったので電源を入れ直したら治った。

なーんていうソフトは全てコレです。

魚肉、小麦粉、防腐剤、添加物がテンコモリの「ビーフハンバーグ」みたいなソフトですな。

 通常こういう場合、開発会社は「不安定ですね」なんていうわけですが、不安定というのはソフトの場合あり得ないんですよ。ソフトは野生動物じゃないんですから、突然いなくなっちゃったり、群れからはぐれたりしないんですよ。なにか理由があるわけです。でもその理由が分からないんですよ、作った本人さえも。そして最後は、データが壊れちゃって全てパー。

開発会社はいろんな言い訳をしたあと最後に「もう一度入力し直してください」。と言います。まっ結局ソフトを安くした分だけ自社の人件費、つまり作業が止まったときや再入力時の時間による人件費が高くなるわけですな。

 こういう「職人」が作ったソフトを美味しく食べられる人が、日本にはたくさんいるのが救いといえば救いですが。

えっ「うちのソフトは高いのに同じことが起こっている」ですって?。

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サーバを売ればコッチの物

 日本の販売会社の目的はズバリ「サーバ」を売ることにあります。

サーバとは「パソコンの大きい物で値段が高い物」です。実はほとんど普通のパソコンと変わらない物です。

さらに「ソフトを運用する上で必要なんです。」と言ってたくさんいろんな物をくっつけて売ります。データバックアップ(万一のためのデータ保存)用にこれも買った方が...。

となるわけです。

たとえるなら、家を建てるときと同じだと思っていただければ結構です。

「システムキッチンはこんなのすてきですよね。セントラルヒーティングならいつでも暖かいですよ。車庫はどうしますか、やっぱり屋根付きですよね。思い切って3階建てにしちゃえば将来的にお子さんが大きくなったときも...」。

なーんて具合にね。そうするとどんどん料金が積み上がっていきます。

もちろん保守料金という「保険」にも入らなければなりません。もちろんオプションが増えると保守料金もぐんぐん上がっていきます。

 最近ではウイルスとか個人情報やプライバシーマークといった「神風」のおかげで、ますます需要が高まってきています。こうした目に見える(?)オプションはまだ良いのですが、ソフトを動かすための「ソフト」も購入しなければなりません。

稼働する台数に応じたいわゆる「ライセンス」(ソフトウェアメーカーが購入者に対して許諾する、ソフトウェアを使用する権利)というものが必要になってきます。サーバ用にはまた特別なライセンス(むろん高額)のソフトを購入します。

新米SEや営業マンでも説明が不要の魔法の箱「サーバ」なら、たいした知識が無くても売上は自然と上がっていきます。このサーバに頼る営業が日本のレベルを落としている元凶だと僕は考えています。そもそもサーバなんて必要なのかどうかは、またの機会にお話しいたします。

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日本のSEと海外のSEは意味が違う

世界のルールと日本のルールが、なぜこんなに違うかというと、日本ではまともな営業マンやSE(システムエンジニア:日本ではコンピュータにすごく詳しい人)が育っていかなかったからという点にあります。

特にシステムを売る営業マンの知識は、古参の社員から教えてもらった知識をずっと語りついでいる「伝承式」のため、とにかく古い。それって何時代の言葉ですか?と聞きたい場面もしばしば。コンピュータの世界は、ものすごく早い進化をしており正直、僕もついて行くのがやっとというスピードです。ゆえに今、世界ではどうなっているのかという最新の知識は不可欠になってきています。

しかし、日本では教育もなく、自ら勉強もしないため、資料やカタログが無いと説明はおろか話をすることさえできないという悲惨な営業マンがぞくぞくと育っていくわけです。会社からは、とにかくサーバ(パソコンの大きい奴)を売ってこいと言われるために何でもかんでもサーバを買って下さいということにもなっています。

 日本の営業マンはなぜか不思議とA4横長の資料というバカの一つ覚えの資料をたずさえ、プレゼンテーションに登場します。僕らが読んでもまったく意味が不明な名称や図表、カタカナのオンパレード。皆さんそろってグローバルでワールドワイドなネットワーク網によりソリューションを提供してくれるそうで日本人の僕にはちっともわかりません。

 そもそも日本でのSEと海外のSEは意味が違うのではないかと思います。一般的にSEはプログラマ(実際にソフトを作る人)がいろいろな知識、経験を経てやっとなれる上位の職種なんですが、日本では「プログラムは全然作れないけど、客にばれない程度の知識はもっている」という人たちがSEになります。つまり「システムエンジニア」ではなく「SE:セールスエンジニア」なんですね。

社長!よく考えてください。

社内の流れをちょこっとだけ聞いて、この部分は作成するのに何時間かかるか。なーんて分かるはずがないと思いませんか?新入社員がものになるまで何日、何時間かかりますか。それなのにシステム開発会社だけが、さらっと見ただけで会社の社内の流れが分かり、その流れに沿ったプログラムをどう作ればよいか、何時間かかるかを見積もれるというのはおかしいと思いませんか。

 さらにソフトを開発するプログラマの技術力にも天文学的な差があります。

自分の会社のかっこよくない話なのですが、ひとつ披露します。

昔、ひとりのプログラマに練習もかねて当社の社内ソフトの開発を任せてみました。他に迷惑がかからないからじっくりがんばってみろと言ってしまったこともあり、1年6ヶ月が経過してもなかなか完成しません。

さすがの僕もじれてしまって、トップ技術を持ったプログラマに相談し、まったく同じ仕事をさせました。するとトップの人間はそのソフトを2週間で開発してしまいました。つまり、ひとりは18ヶ月。ひとりは0.5ヶ月。その差は36倍です。これほど開発時間が違うわけです。

 悲しい日本の現実
1.そもそも調査しに行くSEのレベルが低い
2.たいして社内のことも分からずに開発の仕様(設計図)を決める
3.むろんどんなレベルのプログラマが開発するのかは、その時点ではわかりません
4.そういうSEが開発時間を決める
5.それを聞きながら営業マンが見積もりを作る

こういう図式になります。

恐ろしいでしょ。

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お見積もりはお手もり

コンピュータシステムやソフトの価格はどう決まるかというと...。

世界的ルール
1.どういったものを作りたいのか詳細に調査を行い、
2.仕様書を作り上げ、
3.どのレベルの人間が、
4.だいたい何時間かかるか

ということを計算して見積もりを作ります。見積もりは通常、「一人月」(いちにんげつ)という単位を用いて計算します。一人月とは開発者一人が毎日働いて一ヶ月を要する仕事量で計算します。

とまぁ、本来はこういう風にしなければいけないんでしょうが、日本ではそう簡単にはいかないわけです。見積もりの仕方は世界的ルールと同じですが、日本独特のジャパニーズルールが存在します。

発注会社のジャパニーズルール
1.契約外のことも「お願いしますよ」というおまじないで解決。
2.それでだめな場合は「言ったはずです」という呪文が炸裂。
3.とどめは「デスパレードマーチ」
(業界用語:永遠にソフト開発への要望を言い続ける客。死ぬまでソフトをただで作らされる)という魔法で開発者は一生その会社の奴隷になります。

海外の場合は「それではさよなら」という開発側の呪文もあるのですが、日本人はなかなかこの呪文を唱えることができません。なぜなら日本では販売会社という会社があって、ソフトとハード(パソコンなど)をセットで売るという習慣があるためです。リース契約もすでに開始されてしまっていますので返品もできません。さらにソフトを作るのはソフトハウスという開発会社です。

自分たち(販売会社)が作るならまだしも下請け会社ですから、ぎゅうぎゅうしめつければなんとかなります。最近はあまりにひどい状況なので法律も改正されましたが、まだまだこの悪癖は残っています。

 こういうこともあるので、ソフトの見積もりはきちんとやってもやらなくても意味が無くなってしまったわけです。ゆえに日本でのシステムの価格は「こんなもんかな」という販売会社のお手盛りで決まることが多いわけです。具体的にどう見積もるかというと「稟議が通りそうな価格」「以前のシステムにいくらかかったか」と言うことを逆算して作るわけです。

販売会社のジャパニーズルール
1.前に作ったときの価格はいくらだったのか
2.担当者や社長の人柄
3.社員全体のコンピュータの知識による手間のかかり具合

例)前に作ったときの価格は2800万円かぁ。ということはリース料金は5年リースで月に55万円くらい支払っているわけね。ふんふん。担当者や社長はなかなか良い人みたいだから話をすれば分かるタイプだな。しかしコンピュータの知識はかなり低いからなんだかんだで、いちいち呼び出される可能性は高いなぁ。でも今月はまだノルマを達成していないし...。

1980万円なら月の支払いが40万円切れるから社長にもインパクトあるかもなぁ。よし、このせんで見積もりを作ろう!。

こんなかんじなわけです。

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